こんにちは!
船長のタングステンです。
早速ですが、みなさんは船に乗ったことがありますか?
筆者は海の近くの観光地や港町で航行されている遊覧船に乗るのが好きなので、何度も船に乗っています。
釣りが好きな人のなかにはボートフィッシングを楽しむ人も多いですよね。スキューバダイビングを趣味にしている人ならボートダイブをするかもしれません。
自分の車やバイクに乗って旅行をするのが好きな人であれば、フェリーに乗ったことがあるかもしれませんね。
豪華客船でのディナーや屋形船での宴会など、船上で食事をしたことがある人もいるでしょう。
それでは質問を変えましょう。
みなさんは船を運転してみたいと考えたことがありますか?
「船を運転する? 自分で? そんなのできるの?」
そう思われる方も少なくないでしょう。
筆者も少し前まではそう思っていました。”自分で船を操縦する”なんて考えたこともありませんでした。
でもね、できるんですよ。
個人で船を運転するのってそんなに難しいことじゃないんです。
船にも車と同じように免許があるんです。その免許を取得すれば、免許に応じた操船をすることができるんですよ。
どうですか? ちょっと船の運転に興味がわいてきませんか?
本記事では、自分で船を操縦するために必要なことを紹介してゆきます。具体的には、免許の種類や免許の取り方、取得にかかる費用・時間など、船の免許を取得するために知っておきたいことについてまとめています。
船の運転に興味があるけど、実際に操縦するために何をすればいいのかわからないという方はこの先を読みましょう。どうすれば自分で船を運転できるかがわかります。
船の運転には免許が必要
車やバイクを運転するために免許が必要なのはご存知ですよね。
先にも書いた通り、船にも車やバイクと同様に免許があります。
船舶免許と呼ばれることが多いですが、正式名称は「小型船舶操縦士免許」です。ちなみにこの免許、国土交通大臣が認可を出す国家資格なんですよ。
基本的にエンジンを搭載したモーターボートは船舶免許を持っていないと運転できません。
モーターボートで自由に航行したいと考えるのであれば、船舶免許の取得をオススメしますよ。
船の免許は3種類
小型船舶操縦士免許には1級小型船舶操縦士、2級小型船舶操縦士、特殊小型船舶操縦士の3種類の免許があります。以下ではそれぞれ1級免許、2級免許、特殊免許と略して呼ぶことにします。
この3種類の免許について説明していきましょう!
まず、1級免許は小型船舶操縦士の頂点に君臨する免許です。1級免許を取得すれば20トン未満の船舶、あるいはレジャーのみに用いる長さ24m未満の船舶を操縦できます。
1級免許を取得すれば以下のような船に乗ることができますよ。
こういった船を使えば海や湖でクルージングをしたり、釣りをしたりとさまざまなマリンレジャーを楽しむことができちゃいます。
2級免許も操縦できる船舶は1級免許と同じです。2級免許を持っていれば20トン未満の船舶、あるいはレジャーにのみ用いる長さ24m未満の船舶の運転ができます。
それでは、1級免許と2級免許は何が違うのでしょう?
違いは航行可能な海域にあります。
1級免許は基本無制限ですべての海域を航行することができます。海でも湖でも自分の操縦する船で自由に航行できるんです。ただ、条例で航行禁止区域に指定されているエリアなど、独自のルールで航行を禁じている場所に関しては1級免許があっても航行できません。
基本的にすべての海域を航行できる1級免許とは異なり、2級免許には航行可能な海域に制限があります。海洋の航行は海岸から5海里(約9km)までの沿岸区域に限る。これが2級免許の制限です。
ここで一つ注意してほしいのが、2級免許が制限している航行可能海域は海洋のみだということです。海洋とはすなわち海。2級免許に課せられている制限は海を航行するときにのみ適用されるのです。
つまるところ、海洋以外の水域を航行する場合は2級免許であっても自由に航行することができるのです。湖川や河川といった海洋以外の水域(=平水区域)でマリンレジャーを楽しみたい方なら2級免許で十分というわけです。
ちなみに、筆者が所持しているのも2級免許です。筆者が船の免許を取った理由は琵琶湖でクルージングをするためでした。琵琶湖は湖川、すなわち平水区域です。琵琶湖という平水区域で船を操縦したかった筆者には2級免許がピッタリだったのです。
最後に特殊免許を紹介しましょう。
そもそも特殊免許は1級免許・2級免許とはまったく異なる船舶免許です。特殊免許を取得して乗れるようになる船は1級免許と2級免許で運転できる船とは根本的に違っています。
では、特殊免許を取得することで運転できる船はどういったものなのでしょう?
それはコイツです!
マリンレジャー屈指のイメージの悪さでおなじみの水上バイクですよ。「ジェット」と呼ばれることも多いですね。
ちなみに、「ジェットスキー」「マリンジェット」という呼び名はどちらも登録商標名なんですよ。「ジェットスキー」はカワサキの、「マリンジェット」はヤマハの商品名です。
豆知識はさておきこの水上バイクという船、1級免許や2級免許で操縦できる船とは根本的に異なっています。
何が異なっているのかと言いますと、推進力を作る機構が違うんです。
1級免許・2級免許で運転できる船の多くはプロペラの回転によって推進力を得ています。プロペラを回転させるのは船尾に搭載されている船外機です。それに対して、水上バイクは船の底にある吸水口から取り込んだ水をジェット噴流に変えて船外に噴出することで推進力を得ています。
水上バイクは推進力を作る機構が違う。だから特殊免許という別の免許が用意されているんです。
この特殊免許で運転できる船は水上バイクのみ。特殊免許しか持っていない方はプレジャーボートやバスボートなどの船を運転することはできません。
ですが、特殊免許を持っていない人は水上バイクを運転することができません。たとえ、1級免許を持っていたとしても特殊免許がなければ水上バイクには乗れないのです。特殊免許はまさに水上バイク専用の免許ですね。
水上バイクで航行できる区域は海洋・平水区域を問わない全水域において陸岸から2海里(約3.7km)までと決められています。この航行区域制限は特殊免許以外の船舶免許を有していても変わりません。
「水上バイクは2海里まで」というルールは絶対です。
船にも教習所がある
小型船舶操縦士免許に種類があることは先に述べた通りです。
それでは、この船の免許を取得するにはどうすればいいのでしょうか?
車やバイクの免許であれば教習所に行って免許の取得を目指しますよね。教習所で学科と実技の講習を受けて、所定の試験をクリアすれば晴れて免許ゲットです。
じゃあ、船は?
車やバイクのように教習所があるのでしょうか?
あるんです!
船にも車やバイクと同じように教習所があります。「ボートスクール」と呼ばれることが多いですね。ボートスクールは全国各地にあります。
ボートスクールでは学科講習と実技講習の2つを受けます。講習を受けたその日のうちに試験があるので、車やバイクの教習に比べるとかなりスピーディーな免許取得になります。
学科講習では船長の心得や海上交通のルール、運航に関することを幅広く学びます。一つ一つの内容はそこまで難しくありませんが、とにかく覚えることが多いんです。特に運航に関することとして学ぶ内容がめちゃくちゃ多いんです。各種船舶の構造やエンジンの仕組み、天気図・海図の読み方、海里・ノットの計算など、挙げはじめるとキリがありません。
学科講習で学ぶこれらの内容を2~3日くらいの短期間で覚えなければならないので、かなり骨が折れますよ。
実技講習では実際に船の操縦をします。講習で実施する内容は取得しようとする船の免許によって異なります。どの免許の実技講習でも共通で実施するのは、船の直進・変針・後進や蛇行運転(スラローム)、人命救助、ロープワーク、整備・点検あたりですね。
実技講習は特殊免許で半日、2級免許で1日しかありません。そのため、短期間で感覚をつかんで試験に挑むことになります。
ボートスクールの講習内容を知って「難しそう…」と不安に思われた方もいるでしょう。確かに簡単ではありませんが、できないことはないです。
免許取得のカギは時間の使い方です。学科と実技の両方とも、講習内容の濃密さに比べて講習時間はかなり短いと思います。限られた時間を有効に使えるか否かが試験合格の分かれ道です。
とりあえず、学科も実技も真面目に講習を受けていれば試験もどうにかなるので、免許取得を目指す方は実直に頑張りましょう。
免許取得にかかるコスト
ボートスクールで免許取得を目指せることはわかってもらえたと思います。
船の免許を取る方法をみなさんは知ったわけです。
そんなみなさんが次に気になることは何でしょう?
免許取得にかかるコストではないですか?
「船の免許を取得するのにいくらかかるの?」
「どのくらいの時間で免許が取れるの?」
こういったことが気になりますよね?
ここからは読んでくださっているみなさんが気になっていると思われる費用と時間について書いていきます。
費用:車に比べると圧倒的に安い!
まずは船の免許を取るのにどのくらいのお金が必要なのかを書いていきましょう。
先述した通り、小型船舶操縦士免許には1級免許、2級免許、特殊免許の3種類があります。この3種類の免許はそれぞれ操縦できる船や航行可能海域が異なっており、ボートスクールでの講習内容もそれぞれの免許に応じたものになっています。
免許取得にかかる費用もそれぞれの免許によって異なっています。具体的な金額はボートスクールによって変わってきますが、だいたいの料金はこんな感じですかね。
2級免許:100,000円
特殊免許:60,000円
上記の料金はかなりざっくりした金額です。いくつかのボートスクールのホームページに掲載されていた料金を見て「こんなもんかなー」と考えて書いたものです。正確な金額については各ボートスクールのホームページで確認してくださいね。
また、多くのボートスクールでは複数免許の同時取得に挑戦できるセットコースが用意されています。1級免許または2級免許といっしょに特殊免許も欲しいという方向けの講習ですね。セットコースの料金はそれぞれの免許を個別に取得するよりも安く設定されていることがほとんどです。
筆者は2級免許と特殊免許のセットコースを受講して2つの免許を同時に取得しました。このセットコースを受けて免許を取得するのにかかった費用は約140,000円でした。別々に取得するよりも20,000円ほどお得に免許を取ることができました。こちらに関しても詳しいことは各ボートスクールのホームページを参照してください。
このように船の免許にかかる費用は一様ではありません。
でも、一つ確実なことがあります。
それは、車の免許に比べると免許取得にかかる費用が圧倒的に安いということです。
まったく別の乗り物である車と比較するのはナンセンスかもしれません。車と船では乗る頻度も利用するシーンも違いますからね。乗り物としての特性や整備・保管などにかかるコストも全然違います。
それでも、同じ乗り物の免許として車の免許と船の免許を比較すると、船の免許にかかる費用の安さには驚かされます。教習所に行って車の免許を取ろうと思ったら、300,000円くらいかかりますからね。
そう考えると、船の免許って安いですよね。
時間:水上バイクの免許なら最短1日半
次は船の免許を取得するのにかかる時間です。
ざっくりとした時間は以下の通りです
2級免許:最短3日(学科2日、実技1日)
特殊免許:最短1.5日(学科1日、実技0.5日)
こちらも取得する免許によって異なっています。上記の日数で学科講習と実技講習のすべてを修了します。その上、試験も講習修了後すぐに実施されるんですよ。試験に一発で合格できれば、上記の日数で免許取得ができちゃいます。
こうして日数を見ると、船の免許って取得にかかる時間がかなり短いです。一番短期間で取得できる特殊免許なんて1日半ですよ。ビックリですよね。
ただ、免許証の交付には2週間ほど時間がかかります。船を運転する際は免許証を携行しなければならないので、試験合格後すぐに船の運転はできません。免許証は自宅に郵送されますから、手元に届くまでは気長に待ちましょう。
免許取得までの時間について書いてきましたが、ここに載せている時間はあくまでも参考です。詳しい日数や正確な講習時間については各ボートスクールのホームページで確認してくださいね。
免許を取ったら船をレンタルしてみよう!
あなたはボートスクールでの講習をすべて終え、晴れて免許をゲットしました。手元には自分の顔写真が載っている小型船舶操縦士免許があります。
短期間とはいえ想像以上に大変だった講習に想いを馳せつつ、あなたはこう思うでしょう。
「船の操縦したい!」
船の免許を取った理由は自分で船を操縦するためですよね? 免許を取得したら当然船の操縦をしたくなるでしょう。
「それじゃあ早速操縦しますか!」と言いたいところですが、残念なことに操縦する船がありません。
そんなあなたにオススメしたいのがボートレンタルです!
レンタカーやレンタルバイクがあるのと同じように、船にもレンタルサービスがあります。「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」のように完全会員制のボートレンタルサービスから、非会員(ビジター)でもボートのレンタルができるマリーナまでレンタルサービスにもさまざまなものがあります。
価格設定やレンタル方法、事前講習の有無などはマリーナによって異なりますが、ボートを借りること自体はそこまで難しいことではありません。
先日筆者もビジターとしてボートをレンタルしましたが、ボートを借りるのって思っていた以上に簡単ですよ。今回は「セーリングスポット ワニ」という滋賀県は琵琶湖にあるマリーナを利用させていただきました。
このマリーナがやっている「タイムレンタル」というボートレンタルサービスを使って船を借りました。
この「タイムレンタル」というサービスの魅力は、会員制のボートレンタルサービスに入会していない人でもボートを借りられるところです。船の免許を取得して日の浅い方やちょっと船に乗って遊びたいという方にはちょうどいいサービスだと思います。
借りられるボートはさまざまありますが、どのボートも比較的扱いやすいものですね。今回利用した「タイムレンタル」には水上バイクもプレジャーボートも用意されていました。
ちなみに、筆者が先日レンタルしたのはヤマハの「AS-21 WB」という90馬力のプレジャーボートでした。
免許取得前の実技講習以来の操船、かつ免許取得後初の操船で少し不安でしたが、難なく運転できました。
ほかのマリーナがまったく同じサービスを提供しているわけではありませんが、ビジター向けのボートレンタルサービスを提供しているマリーナは一定数あります。
小型船舶操縦士免許を取得して船の操縦をしたくなった方はボートレンタルサービスを利用してみてくださいね。
頻繁に船を借りるのであれば、「ヤマハマリンクラブ・シースタイル」のような完全会員制のボートレンタルサービスに入会するのもアリですよ。また、マリーナが独自に会員制サービスを用意している場合もあるので、そちらもチェックしてみてくださいね。
意外と簡単に船の運転はできます
ここまで読んでくださった方ならわかると思いますが、個人で船に乗って遊ぶことってそんなに難しいことではないんです。
ボートの操縦やボートを使ったマリンレジャーは一見すると敷居が高く見えますよね。でも実際のところ、小型船舶操縦士の免許は車やバイクよりも短期間・安価で取得できます。
操縦する船もボートレンタルサービスを利用して借りちゃえばいいのです。レンタカーを手配するのと同じように船を借りてしまえば、すぐに船の運転ができます。
敷居が高くて難しそうに見える船の操縦ですが、みなさんが思っているほど縁遠いものではないんですよ。
船の運転って割と簡単にできちゃうんです!
この記事を最後まで読み進めてくださったあなたは、船を運転するために必要な以下のことを知っています。
船の免許は1級免許、2級免許、特殊免許の3種類
船にも教習所がある
免許取得にかかるお金は車よりも安い
比較的短期間で免許が取れる
船は簡単にレンタルできる
あとはみなさん自身が行動するだけです。
免許を持っていない方は免許の取得に乗り出しましょう!
免許を取ったらボートレンタルサービスを利用してみましょう!
そうです! あとはみなさんが実際にやってみるだけなんですよ。
クルージングやボートフィッシング、ウェイクボードなどの船を使ったマリンレジャーを楽しみたい方は小型船舶操縦士免許の取得に挑戦してみてください。
また、この記事を読んで船の免許に興味を持った方は免許の取得を検討してみてください。船の操縦はとっても楽しいですよ!
みなさんも船に乗って非日常を味わってみてはいかがでしょうか?
あっ、もちろん海上交通のルールはしっかり守ってくださいね。小型船舶操縦士の免許を持つ船長の務めですよ!
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